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認知の歪み10項目・うつになりやすい人の思考パターンも紹介

GW明けの新入社員

認知療法についての本『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』を読んだところ、認知の歪みの定義として10パターン詳しく説明されていました。

精神科医の和田秀樹著、『「うつ」だと感じたら他人に甘えなさい』にて解説されていたうつ病になりやすい人の思考パターンと似ている部分がありましたので、両方とも要約して紹介します。

認知の歪み 10項目

1. 全か無か思考

ものごとを極端に白か黒かで考える思考法のこと。

ひとつでもミスをすると、全て失敗と考えてしまいます。

私も以前、「できる」か「できない」か、「やる」か「やらない」かというように、常に二択化して自分で幅を狭めていました。

2. 一般化のしすぎ

良くない出来事がひとつあると、「世の中全てこうだ」と考えてしまいます。

例えば、一人の女性にフラれたときに「自分はこれから先、どの女性にも愛されることはない」と一般化してしまうような状態です。

私は転職を繰り返していた時期に「もう自分なんかどこに行っても働けない!」と悲観的になっていたのですが、これも「一般化のしすぎ」なのでしょうね。

実際は、無数にある会社のうち数社でうまくいかなかっただけでした。

3. 心のフィルター

良くないことがひとつあると、そればかりにこだわってクヨクヨ考え、現実を暗いフィルターを通して見てしまいます。

コップの水に1滴のインクを落とし、全体を黒くしてしまうような状態です。

4. マイナス化思考

プラスの出来事があってもそれを無視し、生活すべてがマイナスのものと感じられる思考のこと。

うまくいったときは「これは偶然だ」と考え、うまくいかなかったときは「やっぱりそうだ」と考えてしまいます。

5. 結論の飛躍

具体的な根拠もなく、悲観的な結論を出してしまうこと。

ある人から悪い反応を受けたと早とちりしてしまう『心の読みすぎ』、状況がどんどん悪くなっていくと決めつける『先読みの誤り』がこれにあたります。

悪いことが続いて「もう死ぬしかない」なんて思ってしまうような場合も、この『結論の飛躍』なのでしょうね。

これまで「もう人生終わりだ」なんて本気で思うこともありましたが、なんだかんだこうして生きていますし。

6. 拡大解釈(破滅化)と過小評価

自身の失敗を過大にとらえ、長所を過小評価してしまう考え方。

逆に他人の成功は過大に評価し、他人の失敗は小さくとらえてしまいます。

なんだか他人ばかりがすごく感じてしまうこと、私もよくありますね…。

7. 感情的決めつけ

自身の憂うつな感情が、現実をリアルに反映したものと考えてしまいます。

例えば、

「なんだか罪の意識を感じる。だから何か悪いことをしたに違いない」

「自分がダメな人間のように感じる。それが私がダメ人間である何よりの証拠だ」

と、自身の感情が真実を証明しているかのように感じられます。

8. すべき思考

何かをやろうとしたときに「~すべき」「~すべきでない」と考えます。

自分に必要以上のプレッシャーを与え、かえってやる気をなくす結果に終わることもあります。

また他人にこの『すべき思考』を向けると、怒りや不満を感じるもとにもなります。

以前「ムカつく奴への対処法&考え方」の記事にも書いたのですが、私が上司など目上の人に対してイライラすることが多かったのは、「上司だったらこうすべき!」というように『すべき思考』を向け過ぎていたからだろうなぁと思います。

9. レッテル貼り

2番目に紹介した『一般化のしすぎ』が極端になった形。

ミスをしたときに「自分はダメな人間だ」とレッテルを貼ってしまいます。

また他人に怒りを感じたときは「あいつは嫌なやつだ」と相手にレッテルを貼ってしまいます。

私も転職を繰り返していたときは自分に「社会不適合者」というレッテルを貼っていましたし、また他人に対して怒り狂ったときも「あんな奴人間のクズだ!」なんて思ってました(今もたまに思うことあるけど…!)。

10. 個人化

良くない出来事があったとき、理由もなく自分のせいにしてしまいます。

子どもの成績が悪かったときに、母親が「私の責任だ。私はダメな母親だ」と考えてしまうのもこれにあたります。

「うつ」になりやすい人の思考パターン 6つ

現在、うつ病は気合いで治るような『心の病気』ではなく、『脳の病気』だという考え方が主流になってきています。

一時的な落ち込みとは異なって、うつ病は医学的な治療が必要な病気なのですから、改善していくためには気合いよりもうつ病に対する正しい理解が必要ですよね。

以下、うつになりやすい人の思考パターンを精神科医の和田秀樹著、『「うつ」だと感じたら他人に甘えなさい』を参考にご紹介します。

1. 二分割思考

二分割思考とは、先ほどの「全か無か思考」と同じ。「白か黒か」「成功か失敗か」「敵か味方か」という、オールorナッシングの考え方のことです。

耳が痛い話ですね…まさに私はこのタイプでした。

「少しはマシ」などの中間を認められない人は、うつ病にかかりやすいそうです。

2. 過度な一般化

特定の出来事を、多くの出来事の中の1回としてでなく「全てそうだ」と普遍化したもののように見てしまう考え方のことです。

たまたま部下が失敗したときに、「今どきの若者はダメだ」とひとくくりにして決めつけてしまう場合などが、この『過度な一般化』にあたります。

3. 選択的抽出

全体のうちの、ある一点だけに注意が向いてしまって、その他の側面を無視してしまう思考パターンです。

一度素っ気ない態度をとられると「あ、嫌われてる」と思ってしまうこと、私もよくあります。

その逆に「あの人なら絶対信頼できる」などいい面ばかりを見てしまう場合も、この選択的抽出にあたります。

4. 肯定的な側面の否定

自分の長所や美点を、「大したことない」「全く価値がない」と切り捨ててしまう考え方です。

話し上手で面白いし、勉強もよくできるのに「自分は太っているからモテない」と本人にとって否定的な側面ばかりが気になる状態のことです。

5. 読心

具体的な根拠もなく、「絶対こう思っている」と相手の心を決めつけてしまうことを指します。

決めつけは人間関係が悪化するだけでなく、二分割思考にもつながるので精神的に良くないそうです。

6. 情緒的理由づけ

情緒的な反応が、実際の状況を反映しているのが「情緒的理由づけ」です。

例えば株式投資をしている場合、気分が落ち込んでいると悲観的になって株を全部売ってしまったり、気分が高まっているときにはたくさん投資をしてしまいます。

うつには「認知行動療法」が効果的

認知行動療法とは?

認知行動療法について、厚生労働省はこのように説明しています。

認知療法・認知行動療法とは 認知療法・認知行動療法は、何か困ったことにぶつかったときに、本来持っていた心の力を取り戻し、さらに強くすることで困難を乗り越えていけるような心の力を育てる方法として、いまもっとも注目を集めている精神療法です。

引用元: 厚生労働省

1年後、ほぼ7割が無症状に

 認知行動療法がうつ病治療に効果的だという研究報告を、慶応大学のチームがまとめました。

薬が十分効かなかった中等度のうつ病患者に対し、医師らと面接を重ねて悲観的になりやすい考え方の癖を変えていく認知行動療法を行うと、治療終了から1年後、7割がほぼ無症状になった、との研究報告を慶応大学のチームがまとめた。

引用元: https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170327-OYTET50015/

1年後に7割が無症状って、結構すごいことですよね! 慶応大学病院の中川敦夫特任講師は、

「患者さん本人が、考え方や行動の幅を広げる技術を学ぶと、治療終了後も日常生活でそれを生かし、改善が続くのだろう」

引用元: https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170327-OYTET50015/

と話しています。

実は私も認知行動療法を受けたことがあるのですが、新米臨床心理士さんの練習台みたいな感じになってしまってイマイチ効果が分かりませんでした。

そのときの毎回の流れを簡単に説明すると、

  1. 今の気分などに関するアンケートに回答
  2. 臨床心理士さんが「うーん、随分気分が落ち込んでいるようですね」みたいな感想を述べる
  3. 最近の日常生活について色々質問される
  4. 「あ、もうそろそろ時間ですね。これよかったら読んでみてください」と、認知行動に関する資料を渡される
  5. 帰宅

って感じでした。 なんか感じのいい臨床心理士さんだったので当時はなんとも思わなかったのですが、今振り返ってみるとヒドイな…!

ちなみに冒頭で紹介した『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』を読んだうつ病患者のうち70%が、他の治療を併用することなく4週間以内に改善し、3年後でもその良い状態を維持していたのだとか。

上記の慶応大学の調査結果を読んでいなかったら「ほんまかいな」って感じだったでしょうが、なんか信憑性がありそうですね。

『成功への恐れ』も無気力の原因となりうる

『いやな気分よ、さようなら』では、『虚無主義』&『ぐずぐず主義』に最も見られやすい心理状態も13パターンが紹介されていたのですが、そのうちのひとつが『成功への恐れ』。

失敗が怖くてなかなか前に踏み出せないのは一般的によく耳にしますが、『成功への恐れ』も無気力の原因として挙げられるのだとか。

『成功への恐れ』の特徴としては、

・何かを成し遂げたとしても、「偶然成功しただけだ」「こんな成功はとても保てない」「周囲の期待をいたずらにあおるだけだ」などと感じてしまう

・最後には断崖から落ちるに違いないと思って、最初から山に登らない方が安全なように感じてしまう

など。

これは13パターンのうち、私自身が一番共感できる項目でした。

全身全霊でがんばって成功してその後大ゴケしたりなんてすると、成功すること自体怖くなっちゃうんですよね…。

成功しかけても、その後の絶望ばかり頭によぎって先に進めなくなってしまう。

でも昔成功した事柄や状況とは全く違うし、これも一種の『認知の歪み』。

こうやって客観的に自分を見つめ直し理解することで、少しずつ前へ進んでいけそうな気がしています。

認知の歪み まとめ

いかがでしたでしょうか。私は耳が痛すぎてもげてしまうところでした…笑

前半で参考にした『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』という本では、具体的な対処法なども詳しく説明されています。

繰り返し読み返したくなるくらい内容の濃い本なのでおすすめですよ。

また、後半で参考にした『「うつ」だと感じたら他人に甘えなさい』の中では12パターン書かれていましたが、そのうち半分に絞ってご紹介しました。

よく「うつ病のときはこんな風に考えましょう」という話は耳にしますが、それと同時に現状の思考パターンを知ることも大切。

うつ病は周囲に理解を得にくい病気ではありますが、自分だけは自分の状態を正確に理解していてあげたいですよね。

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